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2007年01月21日

未来館でのレクチャー終了

きのうの午後、レクチャーと対談が無事終わった。
未来館の来場者層にうまくマッチしていたのか、
アンケートの結果が非常に良かったので嬉しい。(その2から続き)

プレゼンテーション資料の中には、著作権の確認がとれていない
グラフや図が多数含まれているため、まだ公開できない。
今後、その問題が解決されたら、未来館からもビデオなどが公開される予定らしい。

レクチャーの筋は以下の通り。

1. 基礎知識
指数関数について。geneとmemeについて。
システム内とシステム外について。手段と目的について。

2. 環境保全
環境保全は、目的を達成するための手段である。
多くの人の目的にとって、いまは共通の手段になっている。

3. 資源
資源は線形で増えるが、人間は指数で増える。
だから資源はかならず足りなくなる。

4. 解決策
資源を増やす、使用量を減らす、の両方を同時にやる必要がある。
資源を増やす方法は未来館にいっぱい展示されている。
使用量=人数×1人あたり使用量
人数を下げるには貧困を無くせばよい。
1人あたり使用量を減らしつつ、生活水準を下げない方法(meme)はたくさんある。
現時点で最も必要なのは、そのような方法やアイデア(meme)
を世界中に急速に広める方法を使いこなすことである。

5. memeの高速な伝搬
Webをうまく使うと何十億回というコミュニケーションを短期間で実行できる。
そのためのインフラ(計算機やネットワークの性能)は十分良くなった。
言語や文化の壁はまだ残るが、技術で解決する。
積極的にWebに参加しましょう。
私も会社での技術開発を通して貢献したいと考えている。


アンケートの中で、「(前半は)マルサスの人口論と同じ」というつっこみがあったので、調べてみた。
マルサスは、

- 人口は指数的に増え、資源は線形に増えるので、生活水準は生存可能な最低ラインに均衡する。
- 人口増加を抑えるために、独身、遅い結婚、禁欲をすべき。

としているようだが、前半は確かに同じなのだが、解決策が不幸すぎる。
私が言いたかったことは、

- 人口は指数的に増え、資源は線形に増えるが、都市化とWebの徹底的な活用によって
不幸を回避しつつ切り抜ける方法があるはず。

ということだ。以下の要素を鑑みてバランスをとっていけばよい。

- 資源を増やす方法はどんどん発明されている。
- ほ乳類は、狭い場所に密集すると子供を作らなくなる傾向をもつ。
- 人間の幸福は身近な人や自分の過去との相対で決まる。つまり、
現在貧乏でも、少しづつ生活が良くなる限り、ひどい不満はたまらない。
- 人間が都市のような狭い場所に集まって生活すると資源消費は劇的に下がる。
- 資源配分の自動化はGoogleのような機械がうまくやってくれるようになる。
- 良いアイデアは人間だけが思いつくし、それには限界があるが、
アイデアを瞬間的に65億人と共有・再利用できるようになった。

以上をまとめると、「科学技術を利用して、指数関数的増加を止め、
もっと遅い増加ペースに持ち込み、人類全員が最低ライン以上の
生活ができるようになる可能性はまだある」ということである。

Posted by ringo : 11:53 | TrackBack