« 2005年07月 | メイン | 2005年09月 »
■2005年08月17日
登山と妄想
先週末は、maltの実家近くにある、南アルプスの鳳凰三山のひとつの、
地蔵岳に登りました。
2700m の山頂は、下山して見上げると、はるか山なみの向こうで、雲にかすんでいました。
これまでに、高い山には 富士山(3776m)、白馬岳(2932m)、
と登りましたが、今回は、この二つの両方を合計したよりもはるかに疲れました。
筋肉を動かすには神経を使って信号を伝える必要があるのに、
頭から足のあいだの、神経系のどこかで信号が消えてしまっていて、
そのせいで筋肉を動かすことができないという感じがしました。
maltのお父さんによると、地蔵岳は、かなりきついほうの山だそうです。
今年93歳になるmaltのおばあちゃんは、「この山にのぼれたら、何でもできるんだ」
と言っていました。
山は、圧倒的な量と種類の生物で埋めつくされていました。
地面の上だけでなく、空気の中も生物で埋めつくされていることが、
空気の匂いからわかります。木漏れ陽がさしている場所を歩くと、
空気中に微小な粒子がけむりのような流れを作りながら無数に飛んでいて、
それぞれの粒子に微生物が乗っている感じがします。
今回の登山で体験した量の情報をコンピューターシミュレーションの中で
体験するためには、何ビット程度必要なのかを考えてみました。
まず、個人的な感覚では、セルのサイズは、水平方向に対しては、
1センチよりも小さくする必要があると感じます。しかし、垂直方向に対しては、
それほど細かくする必要はないと感じました。
1センチ四方のセルが、20km四方にわたって、
100層ぐらい重なっている状態を作ることができれば、
同じ程度の感覚を得られるのではないかと思います。
100層の内分けは、地表付近に60層、地下に10層、
50m以下の低空に20層、それより上の高空に10層、といったところでしょうか。
これだけあれば、1歩あるくごとに50cm進むとすれば、 1mあたり100セルなので、
0.5 × 0.5 × 100 × 100 × (地表の半分=30層+低空の5層分) ということで、
1歩あたり9万セル分の情報量が飛びこんでくることになります。
1セルあたり、gumonjiとおなじ400バイトだとすると、
1歩あたり36MBとなります。
20km四方がこの密度だとすると、
20K×20K×100×100×100×400=400M×1M×400=1.6 × 10^17バイト となります。
次に、その上に乗っている生物の情報が必要です。
生物のDNAの情報は圧縮率が高いかもしれませんが、
生物同士の関係を圧縮してしまうわけにはいきません。
少なくとも、1センチ四方に、10の目に見える生物が、
100の目に見えない生物がいる状態を作る必要があるように思います。
木のように大きな生物については複数のセルを使って管理するとします。
生物は圧倒的に地表における密度が高いので、100層は必要ではなく、
おそらく25層ぐらいで良いでしょう。そうすると、
それぞれの生物のために、gumonjiと同様、1KB程度のメモリを
使うとすれば、
20K×20K×100×100×25×1K = 400M×250K = 1×10^17バイトとなります。
合計で、2.6×10^17バイト(26ペタバイト)となります。
ちなみにこれを地球全体(500MKm2)に広げると、1.25M倍なので、
3.25×10^23バイトとなります。
1年間に出荷されるHDDは6億台で、平均して20GBだとすると、
20G×0.6G = 1.2×10^19 バイトとなります。
1年間に出荷されるHDDの数%をシミュレーターのために使うだけで
今回の登山程度の体験はできるけど、それを地球全体に広げるためには、
何万年分ものHDDが必要になる、ということです。
実際には、HDDの容量は指数関数の法則にしたがって大容量化しています。
そこで、3.25×10^23バイトを保存できるようになるためには、
あと何年待つ必要があるでしょうか。
強引にムーアの法則をHDDに適用すると、3年で4倍になります。
等比級数の和を求めます。
An = (1.2×10^19) × 4^(n-1) とすると
3.25×10^23 = (1.2×10^19) × ( 1- 4^n ) / (1-4)
2.7×10^4×3 =..= 4^n
81000 = 4^n
適当に計算すると、だいたいnが8.1あたりでしょうか。
8.1×3 = 24.3年
極端に楽観的に見れば、1000年待つ必要はなく、
25年でよいということになります。
死ぬまでに地球と同程度の圧倒的な世界をコンピューター内に
作ることは可能でしょうか。。。
山小屋にて、maltが、お父さんに、酒を飲みながら
「コンピューターの中に世界をつくりたい」ということを
説明しているのを聞きながら、こんなことを妄想していました。
投稿者 ringo : 21:59 | コメント (7) | トラックバック
■2005年08月09日
木を盲信してはいけません。
はてなでみつけたのですが、山形浩生さんが、
「木を盲信してはいけません」
という文章を翻訳されてます。
この文章で書かれていることは、gumonjiをある程度(というか、かなり)やっていたら、
自然と知るようなことでした。雨が少ないところでは、
木を植えれば植えるほど水がなくなるので、木を維持できるのは、
とても雨が多いところだけだというのは、gumonjiでは誰もが経験していたことです。
次のバージョンのgumonjiでは、水や炭素や土壌の動きがさらに精密になるので、
ますます、体感できるようになるのかもしれません。