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2005年06月09日

アラン・ケイの夢

AppleがCPUの種類を変更する話題がぜんぜん盛りあがらないのは、とてもいいニュースだ。
アップルは、リーダーさえ替えなければ、他の何を替えてもいい。
しかもバイトコードの種類は、ライブラリの仕様にくらべると、
ぜんぜん重要な問題ではない。近いうちに、CPUの違いの重要度は、
GPU(NVIDIAかATIか)の違いの重要度と同じぐらいになるだろう。
限界付近の高性能を求めたい人で、2年待てない人だけが意識する問題になるのだ。

さてジョブズが作ったMacintoshは、アラン・ケイがつくった ALTOのコピーだ。
アラン・ケイに強く感化されたジョブスは、アラン・ケイの夢である、
コンピューターのメディア化を現実にするために
アラン・ケイにはできなかった、大規模な実現を着実に実行している。
アイデアは、大規模に実現されない限り本当に世界を変えることはできないが、
アラン・ケイをはじめ、大元のアイデアを思いついた人は、
多くの時間を大規模な実現のために使えないことが多いので、
ほかの人がそれを代わりにやることになる。
ジョブスはコンピューターのメディア化を一生懸命、
アランのかわりにやってるというわけだ。

きのう、「アラン・ケイ」を読んだのだが、私がやりたいと思っている、
仮想世界シミュレーションを学習のためのメディアとするということは、
1986年の時点で、すでにアラン・ケイの VIVARIUMというプロジェクトにおいて、
ほとんど提示されてることがわかった。20年遅れだ。
なるほど私が7歳のときに、いちばん最初にAppleII で動いているピンボールの
シミュレーターに触れ、そのときにすでにジョブズの製品を通して、
アラン・ケイの影響を強く受けたのかもしれない。
今でも、シミュレーターの画面を完全に思いだし、
絵で描くことができるほど強烈に頭の中に残っている。
その3年後に彼はVIVARIUMのアイデアを提出したのだ。

現状では、アラン自身は、VIVARIUMのためにたくさんの時間を使えないでいるようだ。
何としてでもアランがやりたかったVIVARIUMの大規模な実現をして、
アランが生きてる間に彼にそれを見せたいと思う。

Posted by ringo : 11:35 | TrackBack