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2006年11月24日

責任をとるとは

問題解決のためにアイデアが必要なときは、以前の考えを復習すると良い。

社内のwikiに「ringoのエッセイ置き場」というページがあるのだが、
そこに私は2年間で150個ほどのエッセイを書きためている。

今回、アイデアが必要だったので復習をしていたのだが、
1年ほど前に書いたひとつのエッセイを見つけた。
まったく隠し立てする必要がない内容なので、ここに掲載しようと思う。

*責任をとるとは

「責任」を辞書でひくと以下のようだ。
(1)自分が引き受けて行わなければならない任務。義務。
「—を果たす」「保護者としての—」

(2)自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い。
「—をとって辞職する」「だれの—でもない」「—の所在」「—転嫁」

(3)〔法〕 法律上の不利益または制裁を負わされること。
狭義では、違法な行為をした者に対する法的な制裁。民事責任と刑事責任とがある。

この説明はまったくわかりにくい。ほとんど、同語反復に近いのではないか。
たとえば、ある社長が、「責任をとってやめる」と、二つの意見がでる。

「あいつは逃げてる。けしからん。」「いさぎよく辞めたのは、良いことである。」

私は、幼い頃から、「責任をとる」という言葉の意味がわからなかったので、
言葉の意味を自分なりに定義して、使ってきた。
自分の中で、長年の熟成を経て、なんとなく完成されてきた定義は、以下のようだ。

**責任をとるとは
責任をとるとは、自分がした約束通りにならなかったときに、
約束と現実の差を埋めるために、以下のいずれかのことを、
自分が、最速、最優先で実行することである。

- 関係者に謝罪し、約束をやぶったことに関して、目をつぶってくれるように説得する。
- 差を埋める能力のある人を探し、助けを求め、実際に助けさせる。
- 自分が足りない分の作業をする。
- どっかから差分をひっぱってきて、差を埋める。
- 私財を投入してお金の損失を埋める。
- (ほかにもあるだろうが、通常は以上の組み合わせを実行することになる)

上記のことを、他のことに比べて優先度を上げ、徹底的にやることが、
責任をとるということである。
上記のことをする必要が生じている時点で、約束は破っているので、マイナスからスタートしている。
責任をとるとは、マイナスのものをゼロにする作業のことなのである。

もちろん、最高なのは、約束を守ることである。
約束をまもることは、考え得る中で最高の、責任をとる方法である。
が、約束を守ることを、「責任をとる」とはふつうは言わない。

**報告の価値

午前11時に駅で面接の待ちあわせをしている。

約束どおり11時に到着したら、損失は0である。
約束をやぶって12時に到着したら、損失は100である。
そこで、責任をとるために、上記の方法のうち
「約束をやぶって12時になってしまいました。すみません。」
と謝罪してみる。そうすると、100の損失はいくらか軽減されるだろう。
就職の面接が目的だとすると、その損失は、80ぐらいに軽減するかもしれない。

さて、10時半に、「約束をやぶって12時になりそうです。すみません。」
と連絡をする。ほとんど同じセリフだが、ちょっと前だというだけで、
損失は、100から30ぐらいには減るだろう。
この80と30の差が、報告をすることの価値である。

一般的には、以下のような内容であればあるほど、落差が大きい。

- 1回しかないこと。
- お金で解決できないこと。
- 順番が非常に大切なこと。
- 初めて約束をやぶる場合。
- 多人数がかかわっていること。
- 約束してから時間がたってないこと。

**違和感の扱いかた
人間は賢い。あとで問題が起こりそうなときは、それよりだいぶん前に、
「何かおかしいなあ、」という違和感がかならずある。これがない人は、
不感症なので、厳しいプロの世界では生きていけないし、
私生活でも、いろいろと支障をきたすはずだ。

さて問題は、違和感を感じたときにどういう行動をするかである。
ベストは、すぐ報告することである。約束を破ってから報告するより、
約束を破る前に報告するほうが損失が小さいからである。

- 最悪:何も報告しない
- まあまあ:違和感があるけど、それは何かわからない、と報告する。
- 良い:Aという違和感がある、と報告する。
- ベター:Aという違和感があり、その原因はBだと報告する。
- ベスト:Aという違和感があり、その原因はBで、それを解決するためにXしたらいいと思う、と報告する。

できるだけ良い報告を、できるだけ早くするように努力しよう。

Posted by ringo : 08:28 | TrackBack