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2005年06月30日

可視光通信

可視光通信 という通信方法がある。
人間の目に見える可視光線を、人間の視覚で感じられない程度に微妙に調整することで、
人間の普通の電灯などを使って通信する方法である。
通常の蛍光灯を使う場合で10Kbps、LED を使うと10Mbpsが可能だという。

今日は、帰りの電車で、この技術を何かに応用できないかと考えていた。

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まず、日本の場合、電波法の範囲は3テラヘルツ以下だが、
可視光線は400テラ〜800テラヘルツなので、
国の認可を待たずに、無線通信インフラを構築することができる。
また可視光線は人体に無害なので、いままでよりも遠くに届かせることが可能になる。
また指向性も、レーザーほどではないにせよ、ある程度高く保つことができる。
10mのタワーを立てれば11キロ向こうまで届くし、
高層ビルがあると50キロ向こうまで届かせることができるので、
光ファイバほどの速度は出ないけども圧倒的に自由なネットインフラを、
消費者の手によって作ることさえできるかもしれない。

たとえば、100万円程度の予算で、ある小さな町の役所に
20メートルのタワーをたてて(あるいは風船をうかべる)、
各家庭に、1万円程度の可視光通信の送受信機を付ける。
こうすれば、道路交通法、地主との交渉、
電力会社との交渉などのめんどくさい問題を一気にすっとばして、
ものすごい安いインフラを末端に提供できるかもしれない。
山間部や海の上などに対しても安くてまあまあの速度の通信手段を提供できるかもしれない。

次に考えたのは、コンピューターのディスプレイの機能向上である。
ディスプレイは基本的には照明器具なので可視光線を放っている。
たとえばブラウン管もノートPCのバックライトも基本的には蛍光灯だといえる。
また、屋外の巨大ディスプレイはたくさんのLEDが集まったものだ。

ソフトウェアを用いてディスプレイの光を微妙に調整すれば、
専用の蛍光灯ほどではないにせよ、ある程度遅い速度で信号を乗せられるかもしれない。
コンピューターのディスプレイは、あるデジタルのデータ(たとえばこのブログのテキスト)を、
ある手順で(フォントデータ→フレームバッファ→D/A変換→液晶の状態変更)
可視光線に変換しているが、「現在表示している情報の元データは何か」
という情報を光そのものに乗せることができれば、
携帯電話を画面に向けるだけで簡単に元の情報を取りこめるようになる。
「自分の目で見た情報は、そのままコンピューターにも見せることができる」
という転換は、メディアとして、非常に大きな意味を持つように思える。
現在の無線通信は、人間の感覚に反していろんなものを通りぬけてしまうからだ。
デジタル通信が、人間の感覚に素直に乗っているというのがおもしろい。

可視光通信では既存の照明施設をそのまま利用できるので、
発信する側に特殊なデバイスが不要だ。
だから、圧倒的な数の送信デバイスを、ソフトウェアの更新だけで、
街の中にあふれさせることができる。

可視光通信の可能性は、まったく底が知れない。

Posted by ringo : 00:47 | TrackBack

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