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2005年06月24日

言語のネットワーク外部性

2001年に始まったwikipedia は奇跡のプロジェクトになるだろう。
あと1〜2年で、wikipediaの派生ビジネスがいくつも登場するだろう。
wikipediaはGNUの GNU Free Documentation License を使って構築されていて
権利関係も解決されているので、ビジネスでの再利用がとてもやりやすい。
たとえばSQLの全ダンプデータを誰でもダウンロードできる。

wikipediaのデータ量はこれまでも指数関数的に増え続けてきたが、
最近、さらに伸びが速くなっている。
しかし最近、日本語やフランス語、ドイツ語など、
英語でない大きな言語の記者数、記事数の伸びが鈍化しはじめている。
そしてその傾向はますます強くなっている。

統計のページ

wikipediaは、言語がもつネットワーク外部性を、もっとも極端なかたちで可視化する。
同じ語句について説明するなら、英語のwikipediaに登録したほうが価値が高まるのだ。
英語ページのユーザーのほうが圧倒的に多いし、語句同士の相互リンクも張りやすい。
たとえば日本語で X68000 という製品を説明しようとしても、
その説明に必要な MS-DOS や BASIC などは日本由来のものではないので、
英語ページのほうが量・質ともに良い。これがくりかえされていく。
最近は、日本ローカルの情報(市町村の名前など)も、
どんどん英語ページに追加されるようになってきた。
この動きは、メタデータを活用した自動翻訳の普及などによってさらに加速されるだろう。

英語人口は現在は15億人と言われ、最も多い言語だった中国語(群)を越えて、
急激に増え続けているという。ネイティブではなく「少し使える」層を含めば、
圧倒的な人数になることはまちがいない。

ひとつの言語が圧倒的に優勢になるという状況は、
これまで人類が体験したことのない境地だが、
そうなったときにどういうことが起こるのか、次は考えてみたいと思う。

ヒントは、「地球上にある1000万トン分の脳が支払っている言語処理コストの総量」かな。

Posted by ringo : 08:45 | TrackBack

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