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2005年06月21日

ハッカーという言葉の意味

ハッカーという言葉は、辞書などによると「コンピューターの達人」という意味だ。
ハッカーが専門知識を活かす方法には色々あるが、映画などでよく使われるのは、
他の人に迷惑をかけるために知識を使う人のほうだ。
ソフトウェア開発にかかわる人達のあいだでは、「ハッカー」という言葉は、スキルが高く、
良いことのためにその知識を使う人という意味で、完全な褒めことばである。

私はつねづね、「ハッカー」の定義をより正確に、より狭くするべきだと考えてきた。
私が考える「ハッカー」の定義は、
「コンピューターと人間の達人」
である。

「コンピューターの達人」というのは、コンピューターに関する専門知識を持って、
コンピューターの操作をきわめてうまくやることである。
「人間の達人」というのは、人間に関する専門知識を持って、
人間の操作をきわめてうまくやる人のことである。(つまり人を動かす、ということ)

そもそも私がこのように考えはじめた原因は、Edward Castronova氏の仮想世界に関する論文だ。
Virtual Power politics
この論文は、「ソフトウェアを書くことは、政治をすることである」という考えに貫かれている。
ソフトウェアを作ることは政策立案なのである。
ソフトウェアを使って行動するのは人間なので、人間の動きをよく知っていることが、
ソフトウェア開発者の必須条件なのだ。
だから、良いソフトウェアを書く人は、人間の扱いに長けていなければならない。
私はこの考えに強く共感できた。

ハッカーの定義を狭くすることで、現在日本にいる「ハッカー」の多くはハッカーではなくなる。
プログラミングが大得意だからといって、対人コミュニケーションや人間観察をおろそかにしている
プログラマは、コンピューターの達人であって、コンピューターと人間の達人、
つまりハッカーではないからだ。

だから、ハッカーになるためにきわめて大切なことは、日ごろから、
歴史、経済、政治、芸術(文学、音楽、、、)、恋愛、
などについて興味をもって勉強をし続け、人間の理解を深めることなのだ。

たて続けになるが、梅田氏のエントリ を読んで、この考えが、より強まることになった。

今後、ハッカーを雇いたいソフト開発会社の経営者は、
面接のときに「コミュニケーション力」を見るのではなく、
「人間に対する興味」を見るようにすればいいのではないかと思う。

Posted by ringo : 01:04 | TrackBack

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