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2006年01月19日
ピクセルの無尽蔵化
液晶そのほかの表示技術の進歩と、
無線通信の高速化の動きなどを見ていると、
2006年か2007年あたりに、画面表示におけるチープ革命が、
ある境界線を越え、一気に肌に感じられるようになる気がする。
そしてそのとき、ユーザー・インターフェイスの改革が一気に進行し、
いままでに存在しなかった競争が出現するだろう。
アプリケーション開発者はそのときのために何を考えておくべきだろうか。
コンピューターディスプレイのピクセル数は、コンピューター関連の資源の中でも、
つねに希少価値の高い資源だった。「ディスプレイを見れば未来がわかる」と言われるが、
それを実際に体験したいならば、アップル・ストアに行って、
30インチのディスプレイが2台接続されたPower Macintoshを操作してみればよい。
30インチ×2のピクセル数は、 2560×1600×2 = 8Mピクセルである。
実際にそれをさわると、既存のアプリケーションが、大きな画面を
前提に作られてはいない、ということがよくわかる。
たとえば、webブラウザのウインドウを横に1メートルほど拡げてみれば、
ほとんどのwebサイトは、横幅が900ピクセル(12インチぐらい)よりも広くても意味がない
デザインになっていることがわかる。iTunesやThunderbirdなどの、
いわゆる3ペインアプリケーションの多くも、超大画面をうまく使うデザインにはなっていない。
Photoshopやスプレッドシート、ゲームなどは比較的大きな画面を使いこなすことができるが、
ツールボックスの使い勝手や、2Dインターフェイスまわりに限界がくる。
そもそも、マウス1個とキーボード1個という組み合わせ自体が、限界を感じさせる。
マウスカーソルを探すのもむずかしいし、アクティブなウインドウを探すのもむずかしい。
だからといって単純にタブレットにすればいいかというとそういうわけでもなく、
当面は複数個のマウスとキーボードをうまく使うような工夫が行われるだろう。
表示面積だけなら、プロジェクタを使えば広くすることができるし、
ピクセル数だけなら、小さな高解像度ディスプレイ業界で、
4000x3000の12Mピクセルといったものも出ている。
しかし次の3年は、80〜90dpiという、フォント表示に十分な
解像度と応答速度をもつディスプレイが、
机の上全部、壁全部、あらゆる平らなところにひろがることが重要だ。
1000万ピクセル用のアプリを作る前に、まず手元にある24インチのディスプレイ(1920x1200)
をフル活用できるExcel以外のアプリを作ってみることを考えてみたいと思う。