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2005年12月29日
2005年にやめたこと
梅田氏が「やめること」を先に考えるというエントリを書いている。
2005年つまり今年の2月、私は、仕事としてのプログラミングを少なくとも2年間はやめることを決めた。
自分がプログラミングすることは、やりたいことの実現のために、
最短距離ではないと考えた。明確な証拠はなかったし、エンジニアとして
もう復帰できなくなるのでは、とかかなり悩んだが、
試しにそうしてみた。
それまでは80%以上の時間をプログラミングに使っていたので、すごい変化だ。
プログラミングをやめるかわりに、「普通でないものを作れる普通の組織」をつくるために、
計画を立てること、 外部とのコミュニケーション、内部のマネジメントのために時間を費やそうと考えた。
今後数年で自分が達成したいことのためには、10人では足りず、
少なくとも30人ぐらいは必要だと考えたので、会社の人数と仕事を増やし、
今では日本に30人弱、中国に20人弱の体制になった。予算の規模も2倍以上になった。
それから1年近くたったが、最近、変化が見え始めた。
ひとつ大きいのは、自分も含めて、退職せずに結婚する社員が増えたことだ。
これは単純にスタッフの年齢が上がったことも大きいが、
会社がある程度安定しはじめた、と実感できたことも大きいと思う。
地道な研究が必要な知識労働の場合、ある期間安定して仕事ができる環境が必要なので、
結婚できる程度には安定した、というきざしは、とても良いことだと思っている。
変化はほかにもある。スタッフから私自身が予想もしていなかった
アイデアや行動が出てくるようになった。
人数が増えると、当然、独自な考えをもつ人も当然増えるはずだが、
それだけでは活発にアイデアが出てくるようにはならない。
組織の中を足でうろつき回って、シチューのようにかき混ぜると、
アイデアの出やすい状態になるようだ。
自分がプログラミングだけをしていたときと今とでは、
アイデアの出てくる速度は、人数の比よりもはるかに早い感じがする。
もちろん問題もある。急激に人数が増えたので、社会経験の少ないスタッフも多い。
評価基準も未完成だし、明確なマネジメントのしくみもない。
この1年を通して、マネジメントの仕組みを設計する作業をしてきたので、
次の1年はそれを適用して、実際に運用する年になる。
2007年の2月までに、「普通でないものを作れる普通の組織」
をどれぐらい完成させることができるだろうか。
もう2006年になるが、私は今年は何かをやめることはなさそうだ。
梅田氏がいうように「やめること」をかんがえてみたが、
やめるべきことは、今年は、思い当たらない。
かといって、増やすことも思い当たらない。
来年は、今年の最初に決めたことを、淡々とやり続ける年になるだろう。