« 2005年06月18日 | top | 2005年06月21日 »

2005年06月19日

チープ革命の連続

チープ革命についての梅田氏のテキストが面白い。
このテキストは、多くのところからリンクされるべきだ。

チープ革命は「イノベーションのジレンマ」でいう、
「破壊的イノベーション」のことだが、
はるかにわかりやすい言葉にバージョンアップされたという点で、すばらしい。

「イノベーションのジレンマ」によると、チープ革命は何度も起こる。
グーグルも例外ではなく、次のチープ革命のときに、
何か別のものに置きかえられるかもしれない。
何百人ものチームを作り、10万台以上のマシンを管理するという仕事は、
なんだか大規模で、それほどかっこいいものではない。
グーグルが20世紀の会社であることを感じさせる。

もしグーグルが、価値を生みだし続けるこの既存の資産にこだわるなら、
次のチープ革命でグーグルを置きかえるものが登場するかもしれない。
グーグルは上場してしまったので、そうなってしまう可能性は
高くなってしまったかもしれない。

次のチープ革命があるとすれば、あまりにも野心的すぎて、
多くのハッカーが口にしなくなってしまったが、本当は心のなかにずっと温められている、
「世界レベルの分散検索エンジン」だ。
中央サーバーを必要とせず、SPAM行為に対しても耐性をもつ、
非常にリアルタイム性の高い、情報の作成と配布とも組みあわさった、
自分の力で増植していく、グーグルの置きかえができるツールだ。
どこかのハッカーが近いうちにこれを作るだろうし、
すでに圧倒的なブロードバンド環境がととのった日本は、先行しているかもしれない。

私の直感では、このチープ革命が起こるためには、
テラバイトクラスの物理メモリと、10Gbpsぐらいの常時接続通信と、
ペタバイトクラスの外部記憶装置と、現在の10倍ぐらい速いCPUが、
世界中の人に行きわたることが必要だ。
20年後のチープ革命の内容はきっとこれだろう。

その次のチープ革命は何だろうか。
以前、飲み会コンピューティングを実践したときの記録によると、
2025年ごろは、ちょうどwebへの初歩的な神経接続が実現する頃である。
神経接続が実現したら、webに流れこむ情報の量は、
おそらく3ケタ以上のオーダーで跳ねあがる。
そのころまでに作られたセンサーネットワークからも大量の情報が入るだろう。
光の速度には限界があるので、この情報量をうまく処理するために、
やはり今度は、狭い場所に大量のチープなデバイスを集積した
次なるグーグルがあらわれる必要が生じる。これが2035年ごろである。
2045年ごろ、デバイスがさらにチープになって、
神経接続web全体を分散検索できるようになり、
この時点でのグーグルはまたもや置きかえられる。

その次のチープ革命は何だろうか。
飲み会コンピューティングの記録によると、
これはかなり早まりすぎだと思うが、2050年ごろは、
有機的な肉体を失っている可能性があるという。
有機的な肉体を失うということは、神経を接続するのではなく、
神経そのものをwebに乗せるということであって、またもや、
処理が必要な情報の量が何桁もはね上がる。
そうすると、またもや光の速度が支配して、
せまい場所に大量の計算デバイスを集める必要が生じる。
そして2070年ごろには、チープ革命で、
それらがばらばらな何かに置きかえられる。。。

チープ革命は1回のものではなく、連続的なものと考えるほうがいいとおもう。

Posted by ringo : 09:41 | TrackBack

本の一部だけを売買する

iTnues Music Storeでは、アルバムの一部だけを買うことができる。
アルバムに含まれるどの曲が人気か、などがわかる。

本の一部だけをネット経由で売るビジネスは可能か?

10章からなる本があるとする。その本が1000円だとする。
10章のうち、2章と3章を読むべきだとする。 各章は150円ぐらいにしておく。
だから2章と3章だけを買う(ダウンロードする)と300円になる。
1000円より安いが、ページあたりは高い。
全章を一気に買うと1000円で全文をダウンロードでき、かつ、
「紙の本も買う」というメニューも選択できるようになる。

2章を読んだら1章を読みたくなることもあるだろう。
参考文献をもう一冊欲しくなることもあるだろう。
作者のwebページを見たくなることもあるだろう。

本の一部を売るというビジネスをつきつめると、
ある一文だけを50円で買う、ある図だけを100円で買うなどといったことも考えられる。
さらに、書評を、章や段落や文や語や文字ごとに書くという活動を同時に支援し、
ある本があったとき、どの章が重要か、どの章が蛇足か、
などについて格付けをしていくサービスも併設すべきだ。
内容の単位量あたりの価値をどんどん上げていくのだ。
本を細かく分けていき、メタデータを蓄積すれば、
いままでと違う本の作りかたができるようになっていくだろう。
作者にとっても、いままでよりも質の良いレスポンスがもらえるし、
章の構成にも注意を払うようになる。

本の一部だけを買えるようにすることは、本という文化を壊さずに、
むしろ豊かにする方向で働くと思うが、どうだろうか。
アカデミック色の強い本から始めていくことは可能だと見た。

Posted by ringo : 01:13 | TrackBack

« 2005年06月18日 | top | 2005年06月21日 »